囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
そういう気持ちから黙ると、花岡さんは別の意味で受け取ったらしく。
「ほらー、応えるつもりがないわけじゃないんじゃないっ」
と、フロア中に聞こえるような明るい声で言う。
「深月さんもその気あるんじゃないー。だったら、早い事、告白に応えた方がいいんじゃない?
あれくらいの子ってすぐ心変わりしちゃうし。大体、お酒の席の上の話だったし、大崎くんが忘れないうちに――」
「俺は、そんなすぐ心変わりなんてしません」
そう割り込んできたのは、大崎くんだ。
外掃除してたハズなのに……と思って、少しの気まずさを感じていると、大崎くんがじっと私を見ながら言う。
「確かに酒は入ってました。でも、酔ったから言ったわけじゃありません。軽いノリでだとか、そういうわけでもないです。それだけは深月さんに分かって欲しいです」
「分かってくれましたか?」と聞かれて、「あ、うん……」とだけ頷くと。
大崎くんはニコッと笑ってから、今度は花岡さんを見る。
「俺、仕事がまだまだ半人前なの、自分でよく分かってます。そんな男に誰かを幸せにできる力なんてありませんから。
まずは俺、仕事を頑張ります」
なんの宣言なんだろう。
と、多分、花岡さんも思ったんだろう、ポカンとして返す言葉を失っているのが横顔で見て取れた。