囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
目を伏せ、少しの沈黙と、気持ちを覆う苦しさの膜を破るようにため息を落とす。
「もういいでしょ、早く仕事戻……」
「〝牡羊座を恋愛面で見ると、積極的で好きになるのも行動を起こすのもスピーディ。相手をじっくりと見極めるような事はせず……〟」
突然つらつらと話し出した及川に顔を上げると、及川はスマホを眺めながら話していた。
恐らく、星座占いだとかそういうサイトを見ているんだろう。
スマホの明かりが及川の首元あたりをぼんやりと白く照らす。
「〝情熱だけで突っ走って関係を持ってから、この恋は間違いだったと気づき、すぐに振ってしまう事も。
相手の気持ちを配慮しないため、相手を振り回したり驚かせたりする事が多々あります〟だって」
読み終えた及川が、スマホをポケットにしまいながら「当たってるんじゃない?」と聞くけど……正直、当たってるとは自分では思えなかった。
だから「さぁ。どうだろ」とだけ言うと、及川が「当たってるよ」とすぐに返す。
「深月はもっと、相手がどんなヤツか確かめてから好きになった方がいいと思うけど」
ぶつかる視線はいたって真面目で……こんな及川、珍しいなと思う。
いつも、ふざけているようなヤツだし、気持ちをへらへらした笑顔で隠してしまうような男だから。
「……大崎くんの事言ってるなら、恋愛感情で好きだとは思わないし、これからも多分好きにはならない。
それ以外の事言ってるなら……今の占い結果はハズレてる」