囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
私は。
及川を好きになってすぐに行動に移したわけでもなければ、及川をじっくり見極めていないわけじゃない。
情熱だけで突っ走ってもいないし……及川を好きになった事を間違いだとも思わない。
ちゃんと、及川隼哉って男をしっかり見て知った上で、仕方ないヤツだって知った上でそれでも好きなんだから。
及川の気持ちなんて配慮しないで自分の気持ちをぶつけられたらどんなにいいか。
〝情熱だけで突っ走って関係を持ってから、この恋は間違いだったと気づき、すぐに振ってしまう事も。
相手の気持ちを配慮しないため、相手を振り回したり驚かせたりする事が多々あります〟
振り回されてるのは……及川じゃなくて、いつだって私の方だ。
及川の、気まぐれな言動に。
ダメだって思いながらもどこかでは期待して……それを必死に自分で否定して。
うんざりするくらいに振り回されているのは、いつだって私の方。
「及川は、ズルいよ」
告白さえ、させてくれなかったくせに、今更こんな風に近づいてくるんだから。
何を思っての行動かは分からないけど……他の女の子を振り回すみたいに、私の事振り回してるのは、そっちじゃない。
続く言葉は呑み込んで……ただ、及川を見つめた。
私のこと、女としていらないなら、同期の仲良しとしてしか必要ないなら、こんな風に構わなければいいのに。
魅力で縛りつけて離してはくれないんだから、及川は、ズルい。