囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「でも、及川が気になってる子なんて聞いたら、華しか思い浮かばないじゃない?
だから、何か進展なかったかなって思ったんだけど……本当にないの?」

眉をしかめながら聞いてくる玲奈は、本当に疑っているみたいで……的外れな疑惑にため息をつく。

「及川が気になる子がいるかもって話が出たのって、一年前とかなんでしょ?
だったら、四ヶ月前に告白して振られた私が相手なわけないじゃない」
「いや、まぁそうなんだけど……何か理由があったとか。そもそも及川、華の告白聞いてないんでしょ?」
「まぁ……私が言い出す前に雰囲気で分かったみたいで、話逸らされちゃったから」
「それさー、本当に分かってはぐらかしたのかなぁ」

そう首を捻った玲奈が言う。

「何も気づかないでそんな感じになっちゃっただけじゃなくて? なんか、及川見てても華の事特別な感じに扱ってるのは分かるし、もう華の事好きなんじゃないのかなってかなり確信してたんだけど……本当に違うのかなぁ」

……正直に白状すれば。
及川が私を、普通の同期以上に見てくれているのは知っている。

同じ支店だからっていうのはもちろんあるけれど、ご飯に行ったりメールをしたり。そういう回数が他の同期よりも多いと知ったのはもう随分前の話だ。

だから、及川が私を特別扱いしてるっていう玲奈の言う事も分かるは分かるんだけど……。

なんだか、最近の及川の矛盾言動も相まってかツラくなってしまって、目を伏せて苦笑いを浮かべた。


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