囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「ごめん。ちょっと分かんない。けど……あの時。告白しようとしていた時。及川は私が言おうとしてる事に気付いてたよ。そういうとこ、鋭いヤツだもん。
気付いた上で、話を逸らした。それが、答えなんだと思う」
淡々と言った私に、少し黙った後で玲奈が「ごめん」と謝るから顔を上げると。
眉を下げた玲奈が泣き出しそうな顔して俯いていた。
「え、玲奈?」
「ごめん! 私、華を落ち込ませたくて言ったわけじゃないのに……なんか本当にごめん!」
俯いていた玲奈が、急に顔をガバっと上げて見てくるから、一歩後ずさりそうになりながら「う、うん」と頷く。
「ただ、華は振られたって言うけど、及川見てるとどうしても華の事好きなんじゃないのかなって思えちゃって……。
なんか、しまいにはなんで華がこんなに今でも好きなのに、及川は好きにならないのとか怒りすら感じてきちゃって」
「それはさすがに八つ当たり……」
「だってそうじゃない! 及川の最低さ知ってるのにそれでも好きって、相当だし! あの女癖の悪さはイケメン顔なんかじゃ到底チャラにならないのにっ! むしろマイナスなのにっ!」
「それなのに……!」と、悔しそうに、それぞれの手をグッと握りしめた玲奈の肩に触れて、どうどうと落ち着かせていると、玲奈が言う。
「でも……華と及川の問題だもんね。入り込みすぎた。私がどう感じても、華が感じてる事が一番正しいのにごめん」
そう謝る玲奈に、ふふっと笑いながらもう一度首を振る。
玲奈は思い込みとか気性が激しいから、周りから煩がられる事もあるけれど、いい子だと思う。
今の事だって、私を思っての事だし。
こんな風に全力で素直に謝ってくれたり、私以上に気持ちを熱くしてくれる玲奈を前にすると、私の中でもやついていた気持ちもすっと姿を消していく。
重たく沈みそうだったさっきまでの想いも、今はもう胸の隅で小さくまるまっていた。