囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


金曜日の夜だからって飲みすぎる人なんて同期にはいない……と思っていたのは、どうやら私の買い被りだったらしい。
見事なチドリ足になった小田くんを見て、そう冷静に思った。

まぁでも、自分の足でなんとか歩こうとしているだけまだいいのかもしれない。
ぐったりともたれかかられたら困るから。

小田くんがどうやらひとりじゃ帰れなそうだ、となった時、嫌な予感は正直した。
だって小田くんがひとり暮らしするアパートが、うちから近いから。

それにしたって、酔った男とふたりなんて……!という心配も同期の間にはない。

小田くんが彼女を溺愛していて、半同棲状態だっていうのを同期の間で知らない人はいない。

だからいくら酔ったからって手を出されるとかその辺の心配はなくて……そのせいで、「深月に任せるかー」みたいな流れになってしまって。

こんな事になるなら、小田くんが及川並みの女癖の悪さを持っていてくれたらよかったのにと思わずにはいられなかった。

小田くんが自力で歩けなくなったらタクシー呼んじゃえばいいからという、少し無責任にも聞こえる言葉を背中に受け、それに睨み返してから小田くんのアパートを目指す。

といっても歩いていける距離じゃないし、二駅くらい電車に乗りたい。

……だったらもうタクシーでいいんじゃない?
そんな考えも頭に浮かびながら、とりあえず駅に向かって歩き出す事にした。



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