愛されたい
ああ、なるほどね、と目の前の男は箸を置いた。

「確かに、恋愛面で“恋”と言えば純粋にすっきりしたように聞こえるけど、“愛”と言えば、なんだか深く、どこかどろどろとした汚れたもののように聞こえる。俺らが汚れているから?」

「恋は嫌いだと言った人も、そう感じたから嫌いになったんだろうね」

“恋”をすっきりとした純粋なものに、“愛”は深く底無し沼のようなものに仮定するのなら、きっと彼は“恋”はしていないだろう。

「ねえ、しってる?」

ん?と、箸を再び進めながら男を見る。

「お前がそういう話をするときは、体の調子が崩れ始めたときなんだよ」

流石幼馴染み。私をよく理解している。

「あーあ。あいつも、あんた.....捺のような気遣いが出来たらなあ」

「そいつは止めて俺にしとく?今フリーだよ」

「それだけは止めとく。あんた、女癖悪いし。修羅場とか絶対面倒くさそう」

「よくわかってるじゃん。超面倒だよ」

バカだなあ、と鼻で笑い、時計を見る。

「よし、そろそろ戻ろうか」
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop