四周年記念小説
そう、あの写真のように
手を繋ぎたいとか、三人で
買い物に行きたいとか。

そして、俺は四浦に対して
いけない感情を持っていることを
つい最近に気が付いた。

普通ならあり得ない感情。

だが、俺は四浦を
“そういう”感情で見ている。

一つ一つの仕草に
一々ドキドキしたり、
桜耶と遊んでる時の
無防備な顔に頬が緩んだり……

あの空間に入れないことは
端からわかっているが、
せめて、四浦と桜耶の
傍にいたいと思ってしまった……

長い間、誰も口を
開こうとはしない。

うちの校長は
本来、優しい。

始業式や終業式の
挨拶状なんかは短いし、
冗談を言ったりもする。

常にニコニコしてる
校長が困った顔をしている……

最初に口を開いたのは四浦だった。

「俺は三神の
出入りをやめさせるつもりはありません」

その言葉に焦ったのは俺だった。

『それは、考え直した方が……』

そりゃぁ、俺だって
四浦や桜耶と家や外で
会えなくなるのは嫌だけど、
ほとぼりがさめるまで
やめておいた方が
いいんじゃないだろうか……

校長も苦笑いだ。

「じゃぁ、せめて
今日だけは家に来てくれ」
...
考えた末、今日だけは
行くことになった。

その後はいつ行けるかわからない……

校長室を出てすぐに
俺たちは帰ることになった。

制服を着替えるのに
一旦、自宅に帰った。

夜八時過ぎ、
四浦ん家に向かった。

**その夜**

玄関に入れるなり、
四浦はいきなりキスしてきた。

驚き過ぎて目を瞑ることさえ
出来ずにいると今度は
無理矢理舌を捩じ込まれた。

何でこうなった!?

奥のリビングには桜耶がいるはずだ。

段々、苦しくなり、
四浦の胸を叩いたら
やっと離してくれた。

『満彦、どういうつもりだ‼』

確かに、俺は四浦が好きだ……

キスだって嫌だったわけじゃない。

だけど、今は
そういう場合じゃない。
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