四周年記念小説
『決めました』

四浦は俺が一度言い出したら
止められないと
わかっているから何も言わない。

親父には転校したい
学校があると言えばいい。

あの人は俺が大きな事件を
起こさなければ大抵の事は
嫌な顔をしながらでも
聞き入れる。

それに、あの家から
此処は少々遠いしな。

『退学届けをください』

印鑑ならズボンのポケットに入っている。

校長は一度ため息を
吐いた後で引き出しから
退学届けを出して来た。

親父には母さんから
伝えてもらお。

「今日付けで三神柾を退学とする」

これで正式に俺は
須寿垣の生徒じゃなくなった。

『ありがとうございました』

四浦……いや、満彦を
校長室に残して教室に戻り
帰り支度を始めた。

誰も気にしていない。

だが、今日で俺は
此処からいなくなる。

『みんな、今までありがとうな。
俺、今日付けで退学になったから
明日からは会えないが
お前らは頑張れよ~』

それだけに言って
教室を後にした。

校門を出て、最後に
校舎を眺めた。
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