深く沈む心臓。
さようなら。
さようなら。

さようなら。

さようなら。

さようなら。

さようなら。

その言葉が私の喉から、
出て行っては、くれない。
早く出て行ってほしい。

目から溢れてほしい粒。
それすらも私の体から
出て行っては、くれない。

梅雨の時期。
湿気が私の髪にまとわりつく。

背中がじわじわする。

前を見る。

体が少し傷ついている。
眠ってる。
動かない。
何時間経過したのか、
それすら気にかからない。

『あぁ、
死んだんだ。』

一言そう呟いた私。

少し香りのきつい煙のでるものを
灰色の砂のようなものにさす。

この光景は、
私にとってまだ辛くない。
実感が、

『沸いてこない』

脱力感になのか、
体だけがついていかない
この感覚。

梅雨の真っ只中、
私の好きな人は、
人生にさよならを告げた。

誰にも別れをつけずに、
いつものように、
朝を迎え、
バイクに乗り、
出ていった。
それだけなのに、

人生にさよならを告げた。

私を残して。
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