キミが愛しいと気付いたからで
『美嘉先輩、俺…。
先輩に話したいことがあるんすけど、いいすか?』
俺の言葉に、先輩は俺から視線をずらしてどこか遠いところを見る。
『私も悠斗に話したいことがある』
すごく困ったように、それでいて何かを諦めたかのようにも見える、そんな笑い方で。
先輩はそう言って、その場に立ち上がった。
『…美嘉先輩が俺に?
なんすか!』
正直、先輩に話したいことがあると言われた瞬間はドキッとした。
けれど先輩の口から発せられるであろう言葉に期待してない俺。
むしろ聞かない方がいい。
そう思ってしまうのは、先輩がそんな顔をしているからだ。
『…うん。
今日の最後の部活の後、体育館の裏に来てくれる?
悠斗と話したいことがあるの』
『分かりました』
俺がそう答えると先輩は寂しそうに微笑む。