キミが愛しいと気付いたからで





『美嘉先輩、俺…。

 先輩に話したいことがあるんすけど、いいすか?』




俺の言葉に、先輩は俺から視線をずらしてどこか遠いところを見る。





『私も悠斗に話したいことがある』



すごく困ったように、それでいて何かを諦めたかのようにも見える、そんな笑い方で。

先輩はそう言って、その場に立ち上がった。







『…美嘉先輩が俺に?
 なんすか!』



正直、先輩に話したいことがあると言われた瞬間はドキッとした。


けれど先輩の口から発せられるであろう言葉に期待してない俺。


むしろ聞かない方がいい。

そう思ってしまうのは、先輩がそんな顔をしているからだ。





『…うん。

 今日の最後の部活の後、体育館の裏に来てくれる?

 悠斗と話したいことがあるの』





『分かりました』



俺がそう答えると先輩は寂しそうに微笑む。



< 4 / 21 >

この作品をシェア

pagetop