キミが愛しいと気付いたからで




『……美姫から聞いたよ。

 どうして美姫じゃダメなの?

 美姫は悠斗のこと、本気で好きだよ?

 お願いだから、美姫を好きになってあげて?』





先輩はいつも俺にそうお願いをする。

いつも寂しそうな顔をしながら、毎回決まった台詞を吐く。






『好きになれないもんは無理。

 美嘉先輩、俺は』


『私ね、今日、佐伯君とペアになったんだ。

 悠斗は美姫とペアだよ?

 美姫、怖がりだから…悠斗、よろしく!』




先輩は俺の肩に手を置いて、それだけ言うと俺の元から離れていく。




いつも、こうだ。



近づこうとすれば先輩は離れる。


俺に興味ないなら、完全に笑顔で接すればいいのに。



いつも寂しそうな顔で俺を見るから、俺は先輩も俺の事を多少は意識の対象として見てるんじゃないか…とか考えてしまう、勘違いしてしまう。





ありもしないことなのに。





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