キミが愛しいと気付いたからで




『悠斗は?
 美姫先輩と回んの?』



どうして、

どいつも“俺=美姫先輩”という式に当てはめるんだ?




俺は美姫、じゃなくて、

美嘉先輩が好きなのに。







『…知らねー。
 俺、肝試し大会参加しねーから』




『は?
 お前が出ないと美姫先輩余るじゃん?』



確かに剣道部は男子も女子も同人数、だから俺が参加しないとなると、必然的に女子も余る奴が出るってこと。





『美姫先輩なら男子部員の誰かしらが声をかけるだろ』






『まぁ…確かに。
 美姫先輩が誰かとペアになるってことは一年の女が誰か余る訳だけどな。

 まぁ、俺は美嘉先輩と回れるし、最高だけど!』




大きな口を開けて笑う佐伯の背中にどついてやりたい。


その思いをなんとか鎮め、俺は冷静さを取り戻す。







『悠斗、俺、お前に負けないよ。』




それは今までに見たことのない、佐伯の真剣な顔だったー…






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