強引な彼との社内恋愛事情*2










砂浜に、バーベキューのセットを着々と並べる。


誰が持ってきたのか、ビールのサーバーのセットとかもあるし。何気に気合が入ってる。


数少ない女チームは、自然と調理組になる。まあ、料理は得意でも不得意でもないけど、水谷さんのリズムのいい包丁さばきを見ると、なんだか負けた気になった。


「あ。それ、切りますよ」と、ボーッとしてしまった私の手にあるナスを取って、それも切ってくれた。


「遠山さんも泳ぐんですか?」


「ううん。泳がないけど」


「えっ?遠山さんもですか?」


「うん。水着持ってきてないし」


上手く断ったと思ったのに、「金子さんも泳がないかもとか言ってるんです。もしよかったら、私の水着貸しますよ。迷っちゃって3つも持ってきちゃいました」と、言った。


「いい。いらない」と慌てて冷たく言い放ってしまった。悪気はなくて、好意だと言うのに。


「でもせっかく来たんだし」


「日焼け、嫌いだから。痛くなるし。ごめんね」


実際、そうだから海はあまり行きたくないのだけれど。


「そっか。残念です」と、ちょっとがっかりするから、罪悪感を感じてしまった。
< 105 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop