強引な彼との社内恋愛事情*2
ふと、男チームを見ると、広重が手際よく火を起こしていた。
こうやって外で見ると、なんだか別な人にも見えるな。こういうことも得意なんだって、ここに来ないと気付けなかったことかもしれない。
「あ。千花さん、もう焼けそうですよ」と、そんな私に気付いたのか、手を振った。
「そう」と、言って、視線を逸らすと「焼けるの焼いちゃおう」と、かわりに水谷さんが小走りで、広重の元へ駆け寄る。
うん。悪気はない。私も水谷さんも。ちょっとの嫉妬もあるけど、前よりは楽に彼女との会話を見れてる気はしてる。
それから、バーべーキューをする傍ら、海に飛び込んだり、泳いだり、ビーチバレーをしたり。
一か所で固まっていたはずなのに、いつの間にか散らばり始めていた。
私はというと、帽子にサングラスにパーカーにタオルまで被って、パラソルの下で体育座り。
たまに、広重が来てくれて、「これ美味いですよ」とか、「ビーチバレーくらいしませんか?」と、誘ってくれるけど、断った。
私は遠くから、楽しんでる広重を見てるだけでも楽しいから。
このまま、のんびりしていたかった。