強引な彼との社内恋愛事情*2

それにしても、じっとしていても汗が吹き出るような暑さだった。


耐えきれないけど、水谷さんの水着を借りて海に飛び込む気にもなれないし。


膝を抱えると、足元に置いていたスマホが鳴動した。メールだった。


休みの日に誰だろうって、確認すると谷くんだった。


珍しい。どうしたんだろう。


[お疲れ様です。遠山さん、なにしてました?]


なにって?と、凝視してしまう。突然、なんだ?


少し文章に戸惑いながら、[お疲れ様です。会社のみんなで海に来てたよ]と返信した。


[あれ?遠山さん、不参加じゃなかったでしたっけ?]


[なぜか参加に○がついていました]


[まじですか?不参加に○をしたつもりが……土下座です。でも行ったってことは、本当は行きたかったんですね!]


[断りづらい雰囲気だったので、来ただけです]


それからまた汗を拭っていると、[じゃあ癒されたいので、素敵な写メでも送ってくださいよ]と返信がきた。


なにを送ればいいのよ、と困惑してしまった。


ひとり佇んで、写メを撮っている自分を想像すると恥ずかしかった。
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