強引な彼との社内恋愛事情*2
「広重、少し散歩してから帰らない?」
「うん。俺もそうしたかった」
「バレないよね?」
「バレませんよ。俺の演技を見せたかったくらい」と、得意気な顔をする。本当はどうなんだか知らないけど。
「だといいんだけど」
「今日は、頑張るって村上には言っておいたから、大丈夫。あいつお喋りだから、それっぽいこと言ってくれてるはずですよ、周りに」
「友達なのに、ひどい言い方」
手は繋がないけど、夏の風を感じながら歩いた。
遠くに地平線が見える。海は綺麗で、その線を越えてもどこまでも続いていくと信じられる。
私たちもそうありたいな、と思った。
しばらくして、谷くんから[癒されました]と、メールの返事がきた。