強引な彼との社内恋愛事情*2
近くのコンビニ。電気料金の支払いをしようと、目をやると、ガラス張りの向こうに、立ち読みをする谷くんがいた。
その瞬間、ぱっと目が合って、驚きもしないで笑うものだから、つられて笑ってしまった。
自動ドアから中に入ると、「遠山さーん」と、私を呼んだ。
どうしようか、と思ったけど、近寄った。「お疲れ様」と一言だけでも言って立ち去ろうと思ったから。
だけど、彼の手にしていた本が、少女漫画の月刊誌だったから、凝視してしまった。
「なに読んでるの?」
「え。少女漫画ですよ」
「意外。そんな趣味あったんだ」
「面白いのかなぁと思って」と、パラパラめくってパタンと閉じた。
「遠山さん、アイスは好きですか?」と訊くから、「好きだけど」と、言ったら、コンビニの前でハーゲンダッチュを抱えた谷くんがいた。
「はい。どっちがいいですか?」とバニラとグリーンティを渡すけど。
「谷くん、溶けちゃうよ?」
「じゃあ、今、食べて行きましょうよ」
そのまましゃがむ。まるでスーツを着た高校生みたいだ。