強引な彼との社内恋愛事情*2

「いただきます」と、私も私で、断り辛くてグリーンティのカップの蓋をあけた。


「夏はアイスですね」と谷くんは言った。


「そうね」


「遠山さん、お盆休み、なにするんですか?」


「お盆休み?友達と出かけるくらいかな」


「へえ。どこに?」


「私の休みがはっきりしてなかったから、ちゃんとまだ決めてないんだけど。涼しいところに行きたいかな。谷くんは?」


「んー。俺は特になにも」


「彼女と出かけないの?」


「うーん。最近あんまり色気のあることしてなくて……あ。でも、花火大会は行く予定です」と、言うから、ドキッとした。


訊いたら、私が広重と行く予定の花火大会と同じ。


「そっか。いいね。花火大会」


「そうですね。花火大会はいいんですけどね」と、呟く。


一瞬スプーンを噛んで、ボーッとしたから、なにかを考え込んでるように見えて、黙った。


それから、「アイスうまいっすね」と、言って同意を求めるみたいに上目使いで私を見た。
< 118 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop