強引な彼との社内恋愛事情*2
「いただきます」と、私も私で、断り辛くてグリーンティのカップの蓋をあけた。
「夏はアイスですね」と谷くんは言った。
「そうね」
「遠山さん、お盆休み、なにするんですか?」
「お盆休み?友達と出かけるくらいかな」
「へえ。どこに?」
「私の休みがはっきりしてなかったから、ちゃんとまだ決めてないんだけど。涼しいところに行きたいかな。谷くんは?」
「んー。俺は特になにも」
「彼女と出かけないの?」
「うーん。最近あんまり色気のあることしてなくて……あ。でも、花火大会は行く予定です」と、言うから、ドキッとした。
訊いたら、私が広重と行く予定の花火大会と同じ。
「そっか。いいね。花火大会」
「そうですね。花火大会はいいんですけどね」と、呟く。
一瞬スプーンを噛んで、ボーッとしたから、なにかを考え込んでるように見えて、黙った。
それから、「アイスうまいっすね」と、言って同意を求めるみたいに上目使いで私を見た。