強引な彼との社内恋愛事情*2

階段を上りきり、持ってきたビニールシートを敷いた。


「ここね。よく見えるんですよ」


振り返ると、町の明かりが傘下に広がる。奥が海なんだろう。船の明かりがぽつぽつと見えた。


「あっちは騒がしいのに、ここは静かだね」


「うん」と、言いながら、よく見ると、周りに人影がいくつか見えた。


「ここ高校のときの友達の地元で。昔、見に来たんですよ。穴場があるからって教えてもらって」


「へえ。女の子と?」


「男の子。野郎、数人でここで花火見ました。悪趣味ですよね」


「うん。確かに」


「帰りにね。駅のほう行って、ナンパしようってなったんですけど。誰も誘えなくて」


「はは。てか、広重ってナンパしたことあるの?」


「ないですよ」


ノリでやろうかって、なっても、出来なかったし。


と、言ってると、ぽぉんと大きな花火が夜空に舞った。


わあ、と歓声をあげてしまう。
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