強引な彼との社内恋愛事情*2

大きな花火がしっかりと見えるものだから、本当にベストポジションといったところだと思う。


高校生の広重なんか知らないのに、少し幼い彼が、ここで、同じような花火を見て友達と騒いだりしていたのかな。


想像できることが、ひどく嬉しかった。


広重の手が、いつの間にか、私の手を握っていた。


そのまま空をしばらく眺めていると、「やっぱり、女の子と見るのって全然違う」と呟いた。


「えっ?」


「花火よりも、隣にいる千花さんがどんな顔して見てるのかなって、気になって集中できないもん」


そう言われて、わあとか、おおとか、歓声ばかりあげていた私の顔を見られていたのかと気づいて、恥ずかしくなる。


きっと、だらしない、変な顔をしていたに違いないもの。
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