強引な彼との社内恋愛事情*2

「まさか。好きじゃないよ?」


「うん。だから。好きとかじゃなくて。ただ心にいる感じ。最低な奴だとか思ってたりするのってそういうことでしょ。だから、なんか、ずるい」


そして、溜め息をついたあと、「ていうか、殴ってやりたかったな」と、言った。


「なに言ってんの?」と、笑う。


「いや。俺、何度か考えたことあるんですよ。千花さんを傷つけた男と再会したら、殴ってやるとか、文句言ってやるとか。だけど、目の前にしたら、言えなかった。こいつが、千花さんと付き合ってたのかって、考えて止まっちゃって。ダメですね」


「実行されたら、逆に困るよ?気持ちだけにしておいて良かったよ」


「千花さんが、そんな顔するから、俺、どんな顔していいかわかんなくて。なんか、自分のことしか考えられなかった」


「だから、そこまで気にしなくていいよ。そこまで思ってくれてるのが、嬉しいんだし」


「千花さん」と、囁くと、ギュウッと抱きしめた。


「迷惑だった?」と、言いながら。

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