強引な彼との社内恋愛事情*2
「教えない」
「教えないの?」
白状しろというのに、脇の下に、今度は手を伸ばす。くすぐりたいみたい。
脇に入らないように応戦してみる。
「千花さん、怪力。負けました」
なんて、音をあげた。
「怪力?」と、ちらっと、すねたように見たつもりなのに。
「睨まないでください」と、目を逸らされたから、本気ですねてしまいそうだった。
睨んでなんかいないのに、そういう風に見えたなんて、目つきが悪いと言われてるみたいで。
今度は、なにも言わないことに決め、背中を向けた。
そしたら、怒ったと思ったのか、「睨んでるなんて思ってないです。すみませんでした」と、慌てた声がした。
「思ってるくせに」
素っ気なく返すと、急に静かになってしまった。
今度は、広重が怒ったのかもしれない。