強引な彼との社内恋愛事情*2

素っ気ない返事ばかりしてしまうのは、私なのに。


急に冷たくされると、すごくすごく寂しくなってしまう。


捨てられた子猫とか、きっとそんな感じ。


勝手だな、って思うけど。


振り返ろうとしたら、ギュッとまた後ろから抱きしめられた。


驚いたから、「怒ってないの?」ってつい口から出てしまった。


「怒る?なんで?」


「急に黙ったから」


「そうだっけ?」


「なんか、考えてたでしょ?」


「んー?」


「ねえ?」


「千花さんのこと可愛いなって思ってました」


「そうじゃなくて……」


「俺の言うこと、否定しないでくださいよ」


笑って、髪の毛をかきわけ、軽いキスを落とす。


好きですって聞こえる。本当にって。


幸せだなって、感じる。


こんな時間が訪れることをどこかで、本当は願っていた気もする。


たまに、いいのかなって思うのは。きっと。


私が、幸せに慣れてないのかもしれない。


不安とか、孤独とか、そういう感情の中にばかりいたせいかもしれない。
< 144 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop