強引な彼との社内恋愛事情*2

だけど、振り返って、抱きしめ返したら、また抱きしめ返してくれる。


おはようとか、おやすみみたいな、当たり前の挨拶みたいで。


やっぱり、失いたくないと強く思った。


心の中に少しずつ、幸せが入り込めるスペースが広がってきてるんだろう。


だから、少しずつ少しずつ。


わかって、知って、赦して、愛していきたい。


と、思ったけど。


「広重」


「はい?」


「なんで、こんなところにキスマークつけたの?」


洗面台の鏡の私と睨めっこしたら、胸元に赤い印。


「休みだから、いいじゃないですか」


「良くない!」


と、結局、また怒ってしまったのだけれど。

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