強引な彼との社内恋愛事情*2
夏の終わりは、突然に
お盆休みも終わった。ずっと広重といたけど、あっという間だったな。
休みボケしてそう、と、トイレで化粧直しをしていた。ファンデの色があわなくなった気がする。焼けたのかな。
化粧ポーチを閉まって、廊下に出ると、こっちに向かって来る谷くんと会った。
「お疲れ」
「お疲れ様です。遠山さん、なんか少し焼けましたね?」
「え。嘘」
やっぱり?と思って、顔に触れてしまう。
「嘘です。なにしてたんですか?休みは」
「特になにも」
本当は、日帰りで牧場に行ったり、海を見たり、少し遠出をしたりしたけど、言わなかった。
「あれ?花火大会は?」
「あ。花火大会は行ったよ」
そういえば、あの日、谷くんと会わなかったことは救いだった。
「そっか。いいな」
「谷くんも行ったんでしょ?」
「結局、行かなかったんです。彼女、仕事で」
「本当に?」
「いちおう、別の花火大会行く約束はしてるんですけどね」
どうだか、と呟いた。