強引な彼との社内恋愛事情*2

残業を終えて、外に出た。帰ろうかと思ったら、谷くんから着信があった。


「もしもし」と出ると、「遠山さん、まだ働いてるんですか?」と、ざわざわした空気が伝わってくる。


「えっと。今、帰るけど」


「本当ですか?じゃあ、待ってます」と、お店の名前を告げられ、通話が切れてしまう。


目と鼻の先にある、道路の向こう側にある居酒屋だ。


顔だすくらいなら、いいかな。どうしよう。いや、メールで謝って、帰ってしまおうと思ったら、店から人が出てきた。


それは、谷くんで、私を見て、「遠山さーん」と手を振っていた。


谷くんがひどく酔っている、と思ったのは、一目瞭然だった。


歓迎会のときは、こんな感じじゃなかった気がする。


結局、逃げることが不可能で、私も合流する羽目になってしまった。


広重が「千花さん、なににしますか?」と言ってくれて、「ピーチサワー」と言って頼んだ。


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