強引な彼との社内恋愛事情*2

どうしよう。気まずい、と思っていたけど、谷くんの酔っ払いの度合いがひどくて、それどころじゃなかった。


「大丈夫?」と、隣に座る彼を見て、言ってしまう。


「大丈夫ですよ」


もしかして、失恋の痛手?呑みたい気分なのかなって、静かにグラスに口をつけた。


大人しくして帰ろう、と、適当に訊いてるふりをしながら。


広重も、私が来るなんて思ってなかっただろうな。


相馬さんは、「そういえば、谷さんは今どこに住んでるんですか?」なんて質問をする。


「ああ。友達の家」


そういえば、同棲してたんだっけ、とそんなことも今更ながら思い出す。


実は酷な質問だったりするんじゃないかって、思う。


谷くんに、興味があるのかもしれないけど、ちょっと無神経じゃないのかな。


それとも同棲してたことを知らないのかな。


恋愛の話とか、あまりしないようなこと、広重は言っていたから。


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