強引な彼との社内恋愛事情*2
相馬さんは「じゃあ、家に住みますー?」なんて、冗談を言う。
「あはは」と、笑った。
どこか、本気に見えるけど。
谷くんは「この年で家ないって、ないっすよね」と、私に振られるけど、「え?まあ。なかなか経験できそうにないよね」と、取り繕って言った。
「遠山さん」と、少し眠そうな目で、私を見た谷くん。
すごくなにか言いたそうに感じたのに、ふっと、目を逸らすと、手元にあったジョッキを飲み干した。
それから、また、無言でみんなの話を訊いてるふりをした。
終電ぎりぎりで帰った。
谷くんから、一度、電話があったけど、でれなかったから、かけ直した。
やっぱり、電話の奥でも引き続き酔ってるみたいで、「大丈夫ですか?」とか、「家、着きました?」と訊かれるけど、谷くんのほうが心配だ。