強引な彼との社内恋愛事情*2

でも、付き合ってたらいいな。

広重がたまに谷くんに対して、ヤキモチみたいなのを妬いてくれることがあるけど、それもなくなるだろうし。


とか、思って見てるのに、谷くんに話しかけられた水谷さんは、「うざいです」とか、「それは意味がわかりません」と、素っ気ない。


無理矢理、誘ったみたいに谷くんが言ったけど、もしかしてそれが本当かもしれないと思ってしまう。


そのまま水谷さんは、席を立ってトイレへと消えてしまう。


私も「あ。タバコ」と、席を立とうとすると、「俺、買ってきますよ。なんでしたっけ?」と広重が訊いた。


「自分で行けるよ」


「いいっすよ。買ってきます」と、席を立った。たぶん、私が奥の席だから、気を遣ってくれたんだろう。


「なんかしもべみたいですね」と、谷くんが言った。


「しもべって。私、そんなに強くないよ」と、それなりの冗談で返す。まるで、王様とか親分みたいだし。


「知ってます」と、笑った。


「遠山さんのギャップっていいですよね」


「え?」


「強そうで、そうでもないようなとこ」


「なに言ってるの」


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