強引な彼との社内恋愛事情*2
「けっこう涙もろかったりして」
「そうでもないよ」
「嘘。外れましたか」と、トマトの乗ったサラダをつついた。
「俺、けっこう勘いいんですけどね」
「へえ」
「って、いつも人にこういうこと言ってますけどね」
広重が先に戻ってきた。
谷くんが、そういえばって、村上くんの話をしだすと、すっかり場が和み、最初のドギマギした感じはもうなかった。
付き合っているとか、疑われていないとさえ、思えた。
お会計を済まそうと思ったら、谷くんが先に伝票を持って行ってしまった。
払おうと思ってレジの前まで行くと、広重も「無理矢理誘った組で支払いします」と言うから、まあ、いいかと財布を鞄に閉まった。
入口の近くで、2人のお会計が終わるのを水谷さんと待っていた時だった。
急に、「違うって言ってるじゃないですか」と、苛立ったような、広重の声が響いた。