強引な彼との社内恋愛事情*2
「なに?」
「広重と付き合ってること、俺、知ってましたよ」と、真顔で言われて、固まってしまった。
「なにそれ?」
「だから、そのまま」
「そういう噂、流れてるの?」
「いや。噂じゃないですよ。広重と、遠山さんが一緒にタクシーに乗るとこ見たことあるんで」
「見間違いじゃない?」
「まあ、認めなくてもいいですよ」と、サラリと言った。
私は、谷くんみたいに平然とした顔になっているか、不安だった。
「広重には、そこまで言いませんでしたけどね」
「見間違いよ」
笑ってみたけど、谷くんは少し笑うだけで、私が認めようが認めなかろうが、本当にどっちでも良さそうだった。
「じゃあ。俺の見間違いだとしたらですけど。遠山さん、今、フリーなんですか?」
「え?」
「広重と付き合ってないんですよね?」