強引な彼との社内恋愛事情*2
冬、始まりは誤解から
すっかり、冬の寒さも深まったように思う。
首に巻いたマフラーだって寒さを完璧に防げるものでもないし。
気を抜くと、身震いしてしまう。
「クリスマスか」
広重はというと、イブに村上くんに誘われて、というよりも勝手に呑み会に行くメンバーにいれられて、困っていた。
だけど、クリスマスが今回のプロジェクトの最終日にあたる。
結果次第では、延長になる可能性もある。
もしかしたら、また急な修正確認依頼があるかもしれないし。
なんとなく、だけど。前日のイブは残業になるんだろうなと、みんな予想しているらしい。
「25日のほうが、確実にクリスマスを過ごせるんじゃないかって話してたんですよ。だから、呑み会するなら24日って、ごり押ししたんです。谷さんと。呑み会だったら、残業で中止になってもいいし」と、広重は言った。
「いいじゃん。行って来たら?」と、言ったら、「それでも、千花さんと過ごしたかった」とすねていた。
「千花さん。クリスマスは、予定入れないで下さいよ?」
「入れるわけないよ」
誘う人なんかいないというのに。