強引な彼との社内恋愛事情*2
「被害者ね」
「だって。知らないうちに、俺も広重もメンバーにいれられてましたからね」
って、広重も言っていたけど、初めて聞いたように、へー、と、言った。
今更、こんな反応をしてみたって、遅いのかもしれないけど。
おかげで彼女に怒られたらしいと続けて言うから、笑ってしまった。
「そういえば、順調なの?」
「あ。彼女?はい。普通です」
「普通」
まあ、順調ってことか。
「クリスマス、なにかするんですか。彼氏と」
「さあ」
「プレゼントはなにあげるんですか?」
言うわけがないのに、私の反応が面白いのか悪びれる様子もなく訊いてくる。
「さあねぇ。谷くんは?」
「プレゼント?買いましたよ」
「なにあげるの?」と、訊いたはずなのに、まっすぐな瞳のまま、「彼女、綺麗なんですよ」と、答えになっていないような答えを言った。