強引な彼との社内恋愛事情*2
そんな顔で言われるものだから、かえってこっちが恥ずかしくなる。
気の利いたことなんか言えるはずもなく、「へえ」としか、言いようがなかった。
「指」
「指?」
「だから、指輪」
「耳が綺麗だったら、ピアスとか買う人?」
「福耳だったら、間違いなくピアスですね」と、腕を組みながら頷く。
って、話し込みすぎた。
そろそろ戻らないといけない。
谷くんもそれに気づいたように、同じタイミングで、喫煙室を出た。
広重にメールをするのを忘れたと、気づいたのは、パソコンの電源をオフにした頃だった。
「やば……」と、口に出る。
広重は30分前くらいに帰ってしまったし、今日も残業で遅くなったから、どっちにしろ会えなかっただろうな。
明日もこの分だと、残業だし。
次の休みは、一緒に過ごすからそのときでもいいか。
私の口から早めに伝えればいいことなのだから。
メールで、おやすみを告げる。
家に帰ると、疲れがどっと出てしまったのか、テーブルに突っ伏して、そのまま眠ってしまった。