強引な彼との社内恋愛事情*2



金曜日は、定例会議があった。


その足で、広重の家に向かう。


最近はというと、彼の家に私の荷物が少しずつ増えていきはじめて、急に「泊まりに来て」と言われても、迷うことなくそのまま行ける。


その日も、そうだった。


急に[家に泊まりに来れる?]ってメールがきたんだ。


インターフォンを鳴らすと、まだワイシャツ姿の広重が出迎えた。


さっき、帰って来たばかりだったらしい。


「千花さん、ご飯は?」


「あ。食べて来た」


「本当?また会社で?」


「ううん。会議の帰りに、S社の人にご飯誘われて」


「S社の人?珍しいね」


「そうだね。あ。でも、2人でじゃないからね。4人でだし」


「誘って来たのは、男?」


「そうだけど」


「全員、男?」


「まあ、そうだけど」


「ふうん。どういう人?」


「えっと」と、どういう人と、言われても、と戸惑ってしまう。


そういえば、今日、ご飯を誘ってくれた人とは、一度名刺交換をしたことがあるけど、会社の携帯が変わったから、と新しい名刺をもらったんだ。


「こういう人?」と、見せる。

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