強引な彼との社内恋愛事情*2
◇
金曜日は、定例会議があった。
その足で、広重の家に向かう。
最近はというと、彼の家に私の荷物が少しずつ増えていきはじめて、急に「泊まりに来て」と言われても、迷うことなくそのまま行ける。
その日も、そうだった。
急に[家に泊まりに来れる?]ってメールがきたんだ。
インターフォンを鳴らすと、まだワイシャツ姿の広重が出迎えた。
さっき、帰って来たばかりだったらしい。
「千花さん、ご飯は?」
「あ。食べて来た」
「本当?また会社で?」
「ううん。会議の帰りに、S社の人にご飯誘われて」
「S社の人?珍しいね」
「そうだね。あ。でも、2人でじゃないからね。4人でだし」
「誘って来たのは、男?」
「そうだけど」
「全員、男?」
「まあ、そうだけど」
「ふうん。どういう人?」
「えっと」と、どういう人と、言われても、と戸惑ってしまう。
そういえば、今日、ご飯を誘ってくれた人とは、一度名刺交換をしたことがあるけど、会社の携帯が変わったから、と新しい名刺をもらったんだ。
「こういう人?」と、見せる。