強引な彼との社内恋愛事情*2
「仕事の話しかしてないし」
「うん。わかってるよ。俺、ご飯まだだから、弁当食べてもいい?」と、名刺を私に返すと、袋からお弁当を取り出した。
私が、勝手に気まずくなってるのかな、と、広重の横に座りながら思った。
広重は、テレビを観て、ははっとたまに笑うけど、あまり私を見なかった。
「ねえ。千花さん」
ようやく話しかけてきたのは、お弁当を食べ終えた頃だった。
「ん?」
「本社に異動決まったんでしょ?」
「あ。うん。なんで知ってるの?」
「田原さんから訊いた」
「田原さん?」
そういえば、広重と田原さんは仲が良かったんだ。だからって、言うの早いよ、田原さん。私より先に言うなんて。
「けっこう、前から決まってたんでしょ?」
「うん。そうなるかも、と言われてたけど。ちゃんと決まったのは、本当に最近だよ」
「なんで教えてくれなかったの?」