強引な彼との社内恋愛事情*2

「ほらここ」と、裏側に、手書きで携帯番号と、良かったら連絡くださいという一言が添えられていた。


「なにこれ」


「名刺、渡しがいのない人ですよね。絶対」


「なんか、あったっけ」と、夕食を食べながらの出来事を思いかえす。だけど、連絡することなどなにもないはずだ。


それに、今月でこのプロジェクトも終わり、異動になるから、S社とは、私は関わりもなくなるだろうし。


「だから、鈍いんですよ。まあ、今はそれでいいと思ってますけど」と、私を抱き寄せた。


「千花さんは、強引にしても気づかないふりするのに。このくらいじゃ、気づきませんもんね」


知らなくて良かった、と言うと、唇を塞いだ。


深いキスをして、唇に架け橋を繋いだ。


体温がちょっと、高くなった気がした。

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