強引な彼との社内恋愛事情*2
近づく、冬の足音
「遠山さん、そのネックレス、可愛いですね」
女子トイレで、お昼の歯磨きをしていると、隣で化粧を直していた水谷さんが言った。
「あ、ありがとう」
ちょっと頬を赤らめてしまいそうになる。
私、いつから、こんなに純情っぽくなったんだろう。
いや違うか。広重から貰ったから、変に気負いしてしまうだけだ。
クリスマスは一緒に過ごせた。
本当は、指輪とかがいいかな、と思ったんですけど、千花さん、絶対休みの日にしかつけないと思ったからと言って、ネックレスをプレゼントしてくれたんだ。
わかってるな。私の性格。
指輪なんかもらっても、会社ではつけれない。
嬉しかったな。
そんな気分に浸りそうになるのをぐっと我慢する。
「今日、水谷さんも送別会に行くんでしょ?」
「え?」
「ほら、谷くんとか、吉居さんとか、今日までじゃない?」
「あ。そうでしたね。でも誘われてないし、用事あるので行けないです。早いですねー」と、笑った。
珍しいと思った。歓迎会は、誘われていたからだ。
かくいう私も、今日は行かないのだけれど。