強引な彼との社内恋愛事情*2









定時にあがる人がほとんどだった。


フロアに残るのは、私を含めて数人のみで、時間が経つと、ぽつぽつ、「お疲れ様でした」と、出て行く。


広重も、今日は送別会に行ってるし。帰りは遅いだろう。


今日は、会社の目の前の店でのんでもいないのだから、捕まることもないだろうなと、パソコンを見つめてた。


なんか集中力、切れてきたな。


一階のフロアにおりてコーヒーを買った。エレベーターの前で待つ。


「あ。お疲れ様です」の声に驚いた。そこには、いるはずのない谷くんがいたからだ。


「お疲れ」


「良かった。忘れ物しちゃったんですよ。遠山さん残ってたんですね」


「うん」


セキュリティカード、返しちゃったから、ドア開けて貰えますか?と、言った。


「うん。いいけど。あれ?送別会は?」


「あ。あと戻ります。送別会の途中で思いだしたんで。酔っぱらう前に取りに来ました」と、笑った。


エレベーターのドアが閉まると、「あっ、しまった」と、谷くんは呟いた。
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