強引な彼との社内恋愛事情*2
「そう?自分が自分をそう見てるから、そう思うだけじゃない?」
「うん。確かに。それは、間違いないですね」
鞄を手にする。
「じゃあ、戻ります」
「うん。お疲れ様。本当に協力ありがとう。お陰で無事終われた」
「お疲れ様でした。いろいろありがとうございました。お幸せに」と、深くお辞儀をして、彼はフロアをあとにした。
「谷くんもね」と、言ったけど、聞こえただろうか。
お幸せに、か。
結婚するみたいじゃないか。
今だって充分幸せなはずなのに特別な言葉に聞こえる。
広重、今日は、谷くんに突っかからないといいな。
そう思いながら、その話をしたときは、私の前では、笑ってたし。
クリスマスの日だって、いつもと変わらなかったのに。
本音を見せないようにしたんだろうか。
広重のいいところは、素直でストレートなところだというのに。
やっぱり。
私が、そうさせてしまっている気がして、胸が痛んだ。