強引な彼との社内恋愛事情*2
広重の家に着いたころには、身体は寒さで冷え切っていた。
「雪、降ってきましたね」と、カーテンを閉めながら、広重は言った。
通りで、空気が冷たかったんだ。
「早く暖まらないかな」と、エアコンのスイッチをいれて、広重は身を震わせた。
「寒そう」
「千花さんだって」
こんなに冷えてと、コートを脱いだ私をギュッと抱きしめた。
広重の着ているダウンが冷たく肌に触れる。
「やだ。冷たい」と、言って、触れた唇も冷たくて、お互い笑ってしまう。
「千花さん、一緒に風呂入らない?」
「え?」
「そんな顔しないで下さいよ。一緒に早く温まりたいだけですよ?」
「あ、うん」
「千花さん。なんか想像したでしょ?」と、イタズラな目を向けてくるから、「してない」と、ムキになって言い返してしまった。
それを見て、笑いながら、風呂いれてこよう、と、広重は逃げるように、バスルームに向かった。
すぐそういうことに、結びつけるのは自分のくせに。
だけど、そういえば、と思った。
生理がきてないような気がする。
気のせいかな。最近、忙しかったから、日にちの感覚がおかしくなってるのかもしれない。
避妊してるしな。
もうしばらく待ってみようと、そのときは深く考えもしなかった。