強引な彼との社内恋愛事情*2

お酒がすすむと、水谷さんは、「今だから言える話とかありますか?」と話を振ってきた。


「今だから言える話?」


「えっと。たとえば誰かに告白されたとか?」


「え。そんなのあるわけないじゃない」


「じゃあ、広重くんとか、どうですか?」


「どうもこうもないけど」


「あの。気づいてると思うんですけど、広重くんって、遠山さんのこと好きだと思うんですよ」


「まさか」と、言いながら、なにかにつけて、彼女が広重と目配せのサインみたいな、含み笑いをしていた理由がようやくわかった気がした。


もしかして、私と広重がくっつけばいいとか、そんなことを思っていたのかもしれない。


「ダメ、ですか?」


「なんか、そういう対象に思えないしね。それに、好きとかじゃないよ。水谷さんの勘違い」


「そう、ですか?」と、落胆する。


「じゃあ、谷さんとか、どうでした?」


「え?谷くん?なんで?」


「谷さんと仲良いとか聞いたし。あ。年下だし。なんか遠山さんのこと、好きそうだったし。だから、どうかなぁなんて思ったりしてです」


「それもないよ」


「そうですか?じゃあ、もし、谷さんと広重くんに告白されたら、どっちにします?」
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