強引な彼との社内恋愛事情*2
「そうだ。千花さん、送別会準備しますからね」と言った広重。
「嫌だよ。誰も来ないでしょ」
いつもの調子で拒否の姿勢で返事してしまう。
「そんなことないですよ。けっこう誘ったら、みんな、のりのりでしたよ」
「私、そういうの好きじゃないって、知ってるくせに」
「知ってますよ」
「行きたくない」
「千花さん」
「なあに?」
「知ってますか?」
「終わりよければ、全てよしって言葉」と、続けた。
「知ってるけど」
「最後くらい、楽しい思い出作りますから」と、広重は笑った。
「千花さん、パソコン借りてもいい?」
「いいけど。なにするの?」
「いや。店どこがいいか、調べようかと思って。行きたいとことか、あります?」
「別にないよ」
「和食がいいとか、中華がいいとか」
「別にないけど。私の送別会なのに、私のパソコンで調べるってなんか笑えるわね」
と、その瞬間、パソコンの電源をつけたままだったことを思いだした。