強引な彼との社内恋愛事情*2



数日後のことだった。


梶間食堂で、ひとりでランチを食べていた。外出から戻りがてらの少し早めのランチだった。


本社の近くにも、安くておいしいランチを食べるところばいいのにな、って。


さわらの煮つけに手をつけて、緑茶をすすっていた。


さて、帰ろうと腰をあげると入口から来た人に目を奪われた。


水谷さんと、広重だったからだ。


なんで一緒にランチに来てるの?2人だけで?と、胸が騒ぐけど、隠れるようにもう一度座りなおした。


珍しい。だからか、変な不安が襲った。


2人が座った席は、私の席の隣だった。仕切り越しで、こっちを気にしなければ気づくこともないだろうけど。


ドキドキしてる、私の息遣いさえ聞こえてしまいそうだ。


でるにでられなくて、また緑茶をすすって時間を持て余す。


なんで一緒にいるの?


ありがとうございましたーが、飛び交う。団体で来てたのか、一斉にお会計の列が混み始めた。550円です、と会計の声さえばかでかい。


「……も困るね……の」


「うん。すごい困ってる。迷惑なんだよね」


入口の人ごみが消えると、2人の会話がはっきりと聞こえてきた。
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