強引な彼との社内恋愛事情*2
◇
数日後のことだった。
梶間食堂で、ひとりでランチを食べていた。外出から戻りがてらの少し早めのランチだった。
本社の近くにも、安くておいしいランチを食べるところばいいのにな、って。
さわらの煮つけに手をつけて、緑茶をすすっていた。
さて、帰ろうと腰をあげると入口から来た人に目を奪われた。
水谷さんと、広重だったからだ。
なんで一緒にランチに来てるの?2人だけで?と、胸が騒ぐけど、隠れるようにもう一度座りなおした。
珍しい。だからか、変な不安が襲った。
2人が座った席は、私の席の隣だった。仕切り越しで、こっちを気にしなければ気づくこともないだろうけど。
ドキドキしてる、私の息遣いさえ聞こえてしまいそうだ。
でるにでられなくて、また緑茶をすすって時間を持て余す。
なんで一緒にいるの?
ありがとうございましたーが、飛び交う。団体で来てたのか、一斉にお会計の列が混み始めた。550円です、と会計の声さえばかでかい。
「……も困るね……の」
「うん。すごい困ってる。迷惑なんだよね」
入口の人ごみが消えると、2人の会話がはっきりと聞こえてきた。