強引な彼との社内恋愛事情*2
血の気がひくってこういうことか、と思った。
湯呑を持つ手が震えて、持てなくなった。
足の先まで震えて、腰をあげられなかった。
えっと、と。頭の中で考える。
真剣に付き合ってると思っていたのは、私だけで。広重から見たら、私との付き合いというものは、遊びだったということか。
まさか。そんなわけない。すぐに、否定したくなった。
だって、私は、今の今まで、広重に愛されているんだと、思っていたのに。
それが、全て私の勘違いで、彼女だと思っていたのも間違いだったなんて。
そんなこと、あるわけないのに。
脳裏に蘇ってきたのは、なぜか准一の顔だった。
確かに、あのときだって、二股されてることなんて、鈍い私は、気づくこともなかった。
けど。
過去と今が交差して見える。デジャヴってこういうことを言うのかって。