強引な彼との社内恋愛事情*2
「あれ?あ。遠山さん。お久しぶりです。どうしたんですか?」
「こっちで打ち合わせがあって」
「なんか、なにも言わないまますみません。気づいたら遠山さんいなくなってて」
「ううん。こっちもいろいろ忙しかったから。ていうか、訊いたんだけど、辞めるんでしょ?」
「あ、はい」
「急だったから、びっくりした」
「あ。そうですよね。この前、遠山さんの異動で騒いでたのに、私が辞めるなんてびっくりですよね」
笑うこの子は、広重の本音のどこまで知っているんだろう。
いつもの含み笑いの理由もわかった気でいたけど、実は違うものだったのかもしれないし。
そう思うと、キュッと心が苦しくなる。なにか知っているのなら、訊き出したくなる。
だからか、ついご飯にでも行かない?と、唐突な誘いをかけてしまったんだ。