強引な彼との社内恋愛事情*2
「もう引っ越しの準備してるの?」
「あ。今からです」
「そっか。大変だよね」
「ぎりぎりになったら、やるタイプなので、あとでたぶん大慌てです。きっと」
すっきりした笑顔で言うものだから、辞めることに、なんの未練もなさそうに感じた。
その決断力がすごいな、と思う。羨ましかった。
今の私にはないものに感じるから。
「本当に辞めるんだ。辞めるの後悔してない?」
「うーん。してないですかね。納得はしてます」
「そっか。でもいろいろ勉強してるものね。いい仕事見つかるといいわね」
「そうですね。ゆっくり探すことにします」
「水谷さんなら、どこに行っても大丈夫よ」
「どうですかね。要領悪いし」
「そうかな?」
「そうですよ。人見知りもするし」
「それは見えないな」