強引な彼との社内恋愛事情*2

「うん?」


「私も、遠山さんのこと憧れつつ、ちょっと嫉妬してました」


「なにそれ?」と、目を丸くしてしまった。


「私、谷さんと付き合ってたんです」


「え?谷くんと?」


「はい」


「本当に?」


「はい」


「いつくらいから付き合ってたの?全然わからなかった」


「夏くらいから、12月までです」


「夏くらいから」と、思い直す。確か彼女と別れて、新しい彼女が出来たとか言っていた。


あれは、夏だったかな。水谷さんのこと、言ってたんだ。そう思うと、頬が簡単に緩んでしまった。


「すみません。知らないとかさっき言ったんですけど……実はちょっと聞いたことがありました。広重くんとのこと。遠山さんも夏くらいから付き合ってるんですよね?」


「え?ううん。去年の4月からだよ」


「え」と、お互い顔を見合わせてしまう。


そんなことを訊く彼女は、広重のこと、そんなに知らないのかもしれないと、思い直してしまった。


それか、夏に付き合ったって、広重が水谷さんに言ったのかもしれない。
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