強引な彼との社内恋愛事情*2

「あっ、確かそのときに彼女の話したな。今、思えば、水谷さんのことだよね。彼女のことも好きだとか言ってたな」


「でも誰にでも、ですもんね。遠山さんのこと、好きになりそうとか言ってしまうくらいですもんね」


「でもその言葉、意味ないんじゃないのかな。だって、なにかあるなら、彼女いるって普通、私に言わないじゃない?それに、それっきりなにも言われてないもの」


「そうですか?」


「そう思うけど……そういえば、その彼女のことは、優しくていい子だし。俺、性格悪いから、勿体ないくらいって、言ってたな」と、肝心なことをようやく思いだした。


「水谷さんのこと、良く思ってたのは間違いないと思うけど」


「でも、遠山さん」


水谷さんの表情は、変わることなく、切なげなままだ。
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